サンワメタルス 株式会社
2023年11月、本講座の担当専門家である岩井崇氏(株式会社広済堂ビジネスサポート)がサンワメタルス株式会社を訪問し、採用力拡大にかかる課題の整理と採用戦略の策定を行いました。
第1回 専門家派遣
【課題】
にかほ市で各種鋼材の6面フライス、研磨品の製造販売を行っている同社では、総合的に各種採用活動や採用ツールを活用できている一方で、限られた人員で行っている体制であることに課題がありました。専門家の助言を含め活動内容を改めて整理し、組織的な動き方を決める必要を感じています。さらに初めて採用する高校新卒者を迎えるにあたっての研修体制構築や、SNS分野の利用範囲の拡大を図り、企業・仕事の魅了を理解した上での応募を獲得し、採用力と定着率向上に繋げたい考えがありました。
【支援・取組内容】
- 4月より高卒新卒の内定が決定したことから、内定者フォロー体制の充実を図ることとし、内容の検討を行った。
- 内定式を実施することとし、社員の意見を踏まえながら、コンテンツ内容・順番などを整理した。
- 父兄へのイメージ向上、安心感を得るために、「父兄を招待した簡易的な工場見学会・平澤代表との座談会」や「定期的な先輩社員との懇親会(食事会)」の企画を検討。また、同社はバスケリーグのスポンサー活動を実施しているため、Bリーグの「バスケ観戦招待券の配布」による内定者フォローなど、幅広に検討した。
- 各種SNSへの発信業務については、新入社員の研修の一環として運用することを検討。会社理解度向上と社内メンバーとのナレッジ度向上を兼ねた研修カリキュラムとして組み込み、研修後もそのまま業務化する方向性とした。
【課題・今後の取り組み】
- 内定式コンテンツの整理
- 内定者フォロー内容の整理(父兄対策、ナレッジ度の向上対策)
- 入社後研修内容の整理
第2回 専門家派遣
2023年12月、本講座の担当専門家である岩井崇氏(株式会社広済堂ビジネスサポート)がサンワメタルス株式会社の採用力拡大にかかる課題の整理と採用戦略の策定支援(2回目・オンライン)を行いました。
【支援・取組内容】
- 内定者フォロー体制の充実を目的とした、内定式・事前研修・懇親会の日程・内容を決定。
- 入社後フォロー体制の充実を図るため、入社式および入社前研修(資格取得の研修・PC研修など)の実施、父兄向けの会社見学会の実施などの具体的な内容や日程を検討。
- 新卒者2名によるSNS配信については業務や先輩、職場の雰囲気に慣れてくるGW明けを予定。工場風景や先輩へのインタビュー、作業風景の発信や説明文章などの記述を経験させることで職場理解度の向上を図る。
- 翌年度以降の参考とするため、それぞれについて実施記録(動画や写真など)を残すようにアドバイス。
【課題・今後の取り組み】
- 実際に行われる式典や内定者フォローの様子について確認
- 実施した後の課題点など整理し次年度実施に向けたブラッシュアップを実施
- 4/1以降の研修スケジュールの構築
第3回 専門家派遣
2024年2月、本講座の担当専門家である岩井崇氏(株式会社広済堂ビジネスサポート)がサンワメタルス株式会社の採用力拡大にかかる課題の整理と採用戦略の策定支援(3回目・オンライン)を行いました。
【支援・取組内容】
- 1月実施した内定式などの入社前フォロープログラムの課題確認。
- 入社後研修の内容及びスケジュールの確認。
- 次年度に向けての取り組みの確認。
【成果】
- 1月に初めてとなる内定式を実施。内定者に向けて全社員がメッセージを送るなど、コミュニケーションの深まる内容となったほか、LINEグループを組むなど連絡体制の整備も完了した。
- 入社後研修として、資格取得講習の申込などは順次進めており、新たに迎える新入社員の受入に向けて準備を進めることができた。
- 今期2名の新卒採用ができたことで採用計画は一区切り。
入社する2名が定着、成長できるよう教育に注力していく。
今後の採用計画は、どのような人材を求めるのかあらためて明確にするところから始めることと確認。
【課題・今後の取り組み】
- 内定式や新卒社員の育成スケジュールなど、今年度実施した取り組みの反省点等を整理、記録し、次回にいかしていきたい。
- 入社する2名の着実な戦力化に向け、フォローしていきたい。
計3回の専門家派遣の模様は以上です。
サンワメタルス株式会社をはじめとする9社の取組内容をまとめた事例集を秋田県公式HPで近日公開いたしますので、是非ご覧ください。
若い世代を獲得し、定着に向けた新たな取り組みに挑戦。若手採用で実現する働きやすい職場づくり
内定者フォローの一貫として、初となる内定式を開催
Q. 採用力拡大支援事業「実践講座」に参加されたきっかけを教えて下さい。
A.
これまで当社では中途採用が多く、新卒採用は行っていませんでした。しかし、社員の平均年齢が上がってきたため数年前から新卒採用をスタート。ハローワークや秋田県就活情報サイトkocchakeのほか、自社のホームページに採用情報を載せたり、SNSで発信したりしていましたが、なかなか結果が出なかったため、なんとか現状を打開したいと考え実践講座に参加しました。
Q. 受講する中で、新たに得た知識や気づきはありましたか?
A.
受講前は採用したい人に向けての発信や、新入社員が働きやすい職場づくりを中心に考えていましたが、講座を受ける中で、今いる社員が若い人たちと一緒に作業しようと思える社風づくりや、働きやすい環境を整えなければいけないと気がつきました。
特にコロナ禍以降は厳しい状態が続いており、社内から「このタイミングで新しく採用することが必要なのか?」という意見もありました。それでも長い目で見れば、若い世代の力が必要です。受講後は、求人票の見直しから進めていきました。
Q.受講をきっかけに、新たに取り組んでいることはありますか?
A.
幸いなことに、受講している間に応募があって2名の内定が決まりました。そのため伴走支援では内定者フォローに重きを置き、当社では初となる内定式を行うことにしました。実はこれまで、自社で内定式を開くという考えはなく、新入社員が大勢入るような大企業ならともかく、1~2人程度で内定式を行うイメージがありませんでした。
それでも専門家の意見を聞く中で、内定式を行った方が会社のことを知ってもらえるし、今いる社員も新しいメンバーを知ることができる。それは大きなメリットですし、入社前のコミュニケーションの場としても活用できると思いました。入社後に初めて会う人を「今日からあなたの上司です」と紹介するよりも、事前に顔を合わせる場があった方がいいとアドバイスをいただき、なるほどと納得しました。
Q.実際に内定式を行った感想を聞かせて下さい。
A.
内定式を行うにあたって、まずは学校に開催時期を相談しました。大学生は10月頃に行うケースが多いですが、高校生は内定が決まった後も授業があります。先生からは「授業がない冬休み期間中の、正月明けくらいがいい」と教えていただき、年明けの始業日に設定しました。
当日は内定者に証書を渡したほか、今いる社員全員が自己紹介をしました。内定者からは入社に向けての抱負を語ってもらい、最後にみんなで記念写真を撮影。初めてのことで慌ただしさもありましたが、一定の効果があったと感じています。社員からは、「もう少し和やかな雰囲気にするために飾りつけをしたらどうか」など、アイディアも出ました。次回は食事やお茶を飲みながら開くのもいいのではないかと考えています。
若い世代の入社によって変化する現場の意識
Q.新卒採用を経て気付いたことや、新たに生まれた課題はありますか?
A.
実際に若い世代が入ってきたことで、しっかりとしたマニュアルを整備する必要が出てきました。これまでは中途採用だったため、作業に対する共通認識が自然と生まれていました。しかし未経験の新卒者となると、そうはいきません。改めて社内の体制や、仕事に対する意識などを整理する大切さを感じました。今後は新入社員の教育に力を入れていくとともに、保護者の方の職場見学会も開催したいと思っています。
Q.今後の目標について教えて下さい。
A.
私は、家族を大切にできない人は仕事も大切にできないと考えています。昔は子どもが熱を出したら母親が面倒を見るのが当たり前でしたが、今は時代が変わり夫婦共働きが一般的です。祖父母も働いている場合が多く、家族みんなで力を合わせて子育てをしなければならない。また、少し上の世代であれば親の介護のために仕事を休むケースも出てきます。
こうしたとき、お互いの仕事をフォローし合える環境があれば家庭との両立がしやすくなります。仕事と家庭のバランスが取れていれば日々のストレスが軽減されますし、そういった企業が増えれば、子どもたちも「秋田で暮らしたい」と思えるのではないでしょうか。そうした職場環境の充実にも、より一層、取り組んでいきたいです。