株式会社 菅組
2023年11月、本講座の担当専門家である平松しのぶ氏(株式会社モザイクワーク)が株式会社菅組を訪問し、採用力拡大にかかる課題の整理と採用戦略の策定を行いました。
第1回目 専門家派遣
【課題】
湯沢市で土木工事、建築工事業を展開する同社は、1948年の創業以来公共事業を中心に安定した事業成長を続け、『まず社員が仕事を楽しみ、お客様に喜んでもらう。そしてお客様の喜びを通じて地域の喜びを追求する。』を信条としている企業です。
積極的に人材採用に取り組んでいる一方、採用したい人が明確ではなく、応募があった求職者を採用している状態にあり、そこからの脱却のため、明確な選考基準を設け、ほしい人に届くメッセージを作成する必要がありました。
【支援・取組内容】
- 高卒採用や県外の応募者へのアプローチなどについて検討。特に具体的なインターンシップの内容について他社事例を参考にアドバイス。インターンシップの場合もペルソナを設定し、どのような方に受けていただきたいのか、明確化することを助言。
- 活躍人材における特徴や要件についてディスカッションを実施し、自社に合った人材の要件の明確化に取り組む。
- キャリアプランの伝え方、考え方など、応募者が求める情報についてアドバイスを実施。欲しい人材に伝わるメッセージの作成方法や手法の選択について検討を行う。
【今後の取り組み】
- 活躍人材の要件整理、選考基準の明確化を図るとともに、選考基準を策定することで、採用したい人材が集まる仕組みの構築を目指す。
- 自社に合った人材に伝わるメッセージの作成、手法を検討する。
第2回目 専門家派遣
2023年12月、本講座の担当専門家である平松しのぶ氏(株式会社モザイクワーク)が株式会社菅組の採用力拡大にかかる課題の整理と採用戦略の策定支援(2回目・オンライン)を行いました。
【支援・取組内容】
- 地域の特性や会社の強みを踏まえ、地元の大学生を積極的に採用していく等、採用したい人材についての方向性の確認を行った。近隣に住んでいる学生を採用することで、地域とのつながりを強化し、会社自体の評判の向上が期待できるなど、今後の会社の成長に向けた狙いの共有を行った。
- 地元の大学生を採用するにあたっての選考プロセスについて、案出しを行った。地元学生であれば1次選考免除、最終選考のみとするなど、地元の人材に対するアプローチ方法について検討を行った。
- 自社の特色を出したインターンシップを検討。地域内での会社の存在感を高め、ターゲットとなる学生を引き寄せることが狙いとなる。他社の具体的な事例等の情報を提供、またインターンシップのアウトプットやフィードバックの重要性などについて説明を行った。今後、具体的なコンテンツ内容について検討を行うこととなった。
【今後の取り組み】
- オリジナルインターンシップの構築にむけた、関連部署との連携の検討。
- 採用人材の明確化(自社のペルソナ設定)にむけたアンケート調査の実施。
第3回目 専門家派遣
2024年2月、本講座の担当専門家である平松しのぶ氏(株式会社モザイクワーク)が株式会社菅組の採用力拡大にかかる課題の整理と採用戦略の策定支援(3回目・オンライン)を行いました。
【支援・取組内容】
- オリジナルインターンシップの構築。
- 欲しい人材に伝わるメッセージの内容、発信手法の検討。
【成果】
- 市の補助金や専門家の助言を活用し、学生からのエントリーを獲得。またインターンシップをサポートする企業のアドバイスを受けながら、プログラムを1カ月間実施していく。インターンシップを通じて地域を知ってもらい、地域の交流人口を増やすことを目的とすることを確認した。
- インターンシップのプログラム検討に当たり、採用メッセージの作成などを専門家の助言のもとに検討。例えば、若い人目線で会社を表現してもらう、3つくらい案を作ってもらい社内で投票するなど、インターンシップでのメッセージを検討する方法について、具体的な案を交えながら考察した。
【今後の取り組み】
- SNS活用など、今後のインターンシップの集客方法の具体的な推進。
- 自社の採用したい人物像を明確にペルソナ設定し、対象人材にささる採用メッセージを検討する
計3回の専門家派遣の模様は以上です。
株式会社菅組はじめとする9社の取組内容をまとめた事例集を秋田県公式HPで近日公開いたしますので、是非ご覧ください。
実践講座やインターンシップをきっかけに社内の意識が変化。採用力強化とともに人事制度改革にも着手
求める人物像の明確化が課題
Q. 採用力拡大支援事業「実践講座」に参加されたきっかけを教えて下さい。
A.
当社では、高校新卒者を毎年2名ほど採用しています。しかし少子化問題に加え、湯沢市ではおよそ7割の学生が進学のため他県へ出てしまいます。以前から危機感を抱き、学生に「地元で働きたい」と思ってもらうにはどうすればいいか模索していました。そんな矢先に実践講座を知り、まさに求めているものだと思い参加を決めました。
Q.受講して新たに気がついたことはありましたか?
A.
以前からいろいろと調べていたため、講座の内容に改めて納得する部分がたくさんありました。もちろん初めて知ることも多く、特に印象的だったのがインターンシップの重要性です。これまで高校生のインターンシップや中学生の職場見学などを受け入れてきましたが、プログラムの中心は体験を交えながら当社の仕事を知ってもらうというもの。しかしターゲットを大学生まで広げるには、学生のキャリアに貢献できる内容でないと参加につながりません。当社独自の面白い体験に加え、キャリアにつながるプログラムを構築することが重要なのだと感じました。
Q.伴走支援でメインとなったのはどのような取り組みでしたか?
A.
最もボリュームが大きかったのは、当社が望む人物像の設定です。私たちは「まず社員が仕事を楽しみ、お客様に喜んでもらう。そしてお客様の喜びを通じて地域の喜びを追求する。」という企業信条を掲げています。こうした思いに沿う理想の人材をイメージするのが大変で、実は今も継続して取り組んでいます。これまでは明確な選考基準がなく、応募があったらまず採用するという形でした。しかし、従来のやり方では求職者に響くメッセージが作れず、当社が求める人材の獲得にもつながりません。今後は当社に最適な人材の要件を設定するとともに、地元の大学生の採用にも力を入れて地域とのつながりを強化していきたいです。
インターンシップで得た大きな気づき
Q.御社では伴走支援の期間中、インターンシップを受け入れたと伺いました。
A.
これは本当に偶然なのですが、複数の地元企業と一緒にインターンシップの受け入れをすることになりました。それぞれの企業が一人ずつ学生を受け入れ、一ヶ月という長期に渡って活動。その間、学生は地域にあるシェアハウスで生活しました。
当社には国際系の大学で学ぶ学生が来てくれたのですが、最初の一週間は留学していたため海外からリモートでコミュニケーションを取りました。設定したミッションは「インナーブランディングの構築」で、社員全員にヒアリングする所からスタート。帰国後は現場見学やInstagramを運営する手伝いなどをしながらミッションを進めていき、最後は社員に向けてプレゼンもしてもらいました。
Q.インターンシップを受け入れたことで、新たな気づきはありましたか?
A.
今回は残念ながら採用につながりませんでしたが、ミッションをインナーブランディングに設定したため、学生から見た当社の姿を知ることができました。その一方で、学生に知ってほしい自社の特徴を事前に設定しておくことが重要だと感じました。当社で働くことや建設業全体としての魅力をしっかり伝えることで、採用力の拡大につながるのだと思います。今後はもっと様々な形でアピールする機会を増やし、会社の認知度を上げていきたいです。
Q.最後に、今後の目標について教えて下さい。
A.
実践講座やインターンシップをきっかけに、採用活動の充実や人事制度改革に向けて動き始めました。当社では10年ほど前に作った人事考課を使い続けていて、時代にそぐわない部分があると思いながらもそのままになっていました。この機会に根本から見直し、社員が働いていて楽しいと感じ、心からワクワクできる会社にしていきたいと思っています。