株式会社 横堀温泉紫雲閣
2023年11月、本講座の担当専門家である岩井崇氏(株式会社広済堂ビジネスサポート)が株式会社横堀温泉 紫雲閣を訪問し、採用力拡大にかかる課題の整理と採用戦略の策定支援を行いました。
第1回 専門家派遣
【課題】
サービス付き高齢者向け住宅、特定施設入居者生活介護施設を展開する同社では、超高齢化社会の地域を支えるために中途・新卒の採用力強化を図りたいという考えがありました。特に現在の採用活動がほぼハローワークのみになっているため、それ以外の求人ノウハウを学び、また、戦略的な人材の定着化を図り介護業界や地域の活性化にも繋げていきたいと考えていました。
【支援・取組内容】
- ハローワーク以外のツール活用、インターンシップ導入、入社後研修の仕組み整理などの課題から、まずは「求人の訴求方法」を学び、「新たな採用手法の導入」を検討・進めることを目標とした。
- Web上でいかに求職者の興味関心を得るかを検討。具体的な職種やPR文章の例文などを確認しながら、Web求人票作成を進めた。
- 自社PRポイントを検討するため、社内意見の収集としてスタッフ数名から長期在籍する理由やPRできるポイントのアンケート取材をすることとした。特に、異業種からの転職者については同社への志望理由と前職の経験が活かされているのかなどについても聞き取ることをアドバイス。自社PRポイントを含めた求人票の作成も検討することとした。
- 選抜方法については、各事業所ごとの面接となっているため、統一した面談チェックシートを準備することで各面接者の視点確認や面接基準の均等化が図れる旨をアドバイスした。
【今後の取り組み】
- 自社のPRポイント発見のため、現場からのヒアリングを実施。
- PRポイントとキーワード戦略を意識した求人票の作成。
第2回 専門家派遣
2024年1月、本講座の担当専門家である岩井崇氏(株式会社広済堂ビジネスサポート)が株式会社横堀温泉 紫雲閣の採用力拡大にかかる課題の整理と採用戦略の策定支援(2回目・オンライン)を行いました。
【支援・取組内容】
- 1回目専門家派遣終了後、アドバイスを受けた「キーワード戦略」を考慮の上、Web上で求人票を作成し公開し、閲覧数が増加したことを確認。閲覧数を増加させ、応募を獲得するためのノウハウの必要性を実感。
- あらためて社内ヒアリングを行い、PRポイントの整理~求人票のブラッシュアップを行うこととし、ヒアリング項目等についてアドバイス。
- 選抜方法について面談シート等の活用の必要性を社内で認識合わせを行った。
複数の事業所があり、求める人物像に違いもあることから、シート作成時には共通項目と事業所項目(自由)とに分けておくことも助言。
【今後の取り組み】
- 自社のPRポイント発見~求人票への反映を目的に、現場ヒアリングを改めて実施。
- 応募者獲得を目標に、公開する求人票の分析・検証・見直しなどを実施。
第3回 専門家派遣
2024年2月、本講座の担当専門家である岩井崇氏(株式会社広済堂ビジネスサポート)が株式会社横堀温泉 紫雲閣の採用力拡大にかかる課題の整理と採用戦略の策定支援(3回目・オンライン)を行いました。
【支援・取組内容】
- 自社のPRポイントの整理
- TalentClipを使用して作成した求人票の検証
- 次年度以降の採用活動の確認
【成果】
- 2回目の専門家派遣を受け、PRポイント等について改めて現場スタッフからヒアリング。内容を反映させた新たな求人票を公開したところ、ATS(採用管理システム)「Talentclip」から送迎ドライバーに応募があり、採用に至った。
- 「PRポイントは定期的に社員に確認していくこと」と、「他社より強いポイントを作るため、社内待遇の改善にも取り組むこと」をアドバイス。
【課題・今後の取り組み】
- 本事業を通じて、高校生の新卒、地元採用だけでは限界があることを改めて認識。来年度以降は県内外の専門、短大、大学も視野に採用活動を展開したい。
- 社内体制や待遇の改善の実施し、PRポイントの創出を図りたい。
- キャリアアップ体制の見直しを図り、離職防止の取組も実施していきたい。
計3回の専門家派遣の模様は以上です。
株式会社横堀温泉 紫雲閣をはじめとする9社の取組内容をまとめた事例集を秋田県公式HPで近日公開いたしますので、是非ご覧ください。
ハローワーク以外のツールも使用し、より広く採用情報を発信。「快娯」に関わる全ての人の幸せを目指して
受講したことで採用ターゲットが拡大。新たにATSやSNSを導入
Q.採用力拡大支援事業「実践講座」に参加されたきっかけを教えて下さい。
A.
これまで当社では、ハローワークを中心とした募集のほか、働いてくれている職員の紹介による採用活動を行ってきました。しかし、近年は介護の人材が不足する傾向にあり、従来と同じやり方では先細りになってしまいます。何か新しい手法を取り入れなければと考えていたときに実践講座を知り、参加を申し込みました。
Q.実践講座を受講する中で、新たに得た知識や気づきはありましたか?
A.
私たちは高校生を含めた新卒採用を希望しているのですが、その世代はレッドオーシャンで、どの企業でもほしい人材です。地元の高校訪問も実施してきましたが、介護福祉系を専攻していない学生にとっては未知の世界。卒業してすぐに飛び込むには、ハードルが高いようです。
さらにハローワークに絞った採用活動では、「まだ具体的に考えていないけれど、転職したい気持ちはある」という人たちに求人情報が届きづらいこともわかりました。こうした状況を踏まえて、SNSの活用が必要であると認識できたことは大きかったと思います。
Q.受講後、実践されていることはありますか?
A.
まず一つは、Instagramの活用です。試験的に施設で提供している食事の写真を載せているのですが、それを採用活動にどのようにつなげていくのかが今後の課題です。応募者の反応を見ながら、発信する内容を検討していきたいと思っています。
また、伴走支援後にATS(採用管理システム)「engage(エンゲージ)」にも登録しました。内容についてはこれから作り込んでいく必要がありますが、さまざまな媒体と連携することで、より多くの人に求人情報を発信できるのは魅力的だと感じています。
実践講座を経て生まれた課題と今後の目標
Q.実践する中で、新たな課題を感じることはありますか?
A.
地元に限らず広く求人情報を発信できるようになったことで、ターゲットの幅も広がりました。一方で、具体的にどのようなアプローチをしていけばいいのか、改めて考える必要も出てきました。例えばSNSを活用する大切さを理解したものの、私たちが求める人材に対して、どのような投稿がより効果的なのか。仕事の様子を伝えるにしても、利用者のプライバシーに配慮しながら投稿する難しさも感じています。
さらに伴走支援を通して、求人票などに記載する言葉の選び方の大切さを学びました。言葉一つで印象が大きく変わるため、その点についても慎重に検討しながら進めているところです。
Q.実践講座で学んだことを社内にフィードバックする際、難しかったことはありますか?
A.
当社ではサービス付き高齢者向け住宅とデイサービス、ショートステイという3つの施設を運営しています。提供する介護サービスの内容に合わせて求める人材が変わるため、各施設に合った形で講座の内容を落とし込む必要があります。受講しながらフィードバックを進めてきましたが、全社的に浸透するにはまだ時間がかかりそうです。
Q.今後の目標について教えて下さい。
A.
現在、動画を視聴することで知識を深めることのできる研修を導入しています。今後はキャリア年数などに応じた内容を用意し、キャリアアップにつなげていきたいと考えています。受講する時間が取れないスタッフも多いので、試行錯誤をしながら、より現場の状況に合った研修制度を整えていきたいです。
また当社には「“快娯(かいご)”に関わる全ての人の“成幸(せいこう)”を願って」という経営理念があります。介護を提供する側、される側の全ての人が快適に楽しく生活を送ってほしいという思いが込められています。こうした理念を実現し続けていくためにも、職場環境の充実を含めた採用力アップにつなげていきたいと思っています。