株式会社 斉藤光学製作所
2023年11月、本講座の担当専門家である平松しのぶ氏(株式会社モザイクワーク)が株式会社斉藤光学製作所を訪問し、採用力拡大にかかる課題の整理と採用戦略の策定を行いました。
第1回 専門家派遣
【課題】
美郷町でガラス・結晶材の研磨加工を事業展開する同社は、ガラス基板や半導体基板の製造で社会に貢献すると同時に、「社員第一主義」のもと福利厚生を充実させ、社員が働きやすさと働きがいを両立できる環境を整えています。
様々な採用手法を実施している同社は、今後の会社の方向性を考え、どのような人物が必要となるか明確化し、採用する際の選考基準を設定したいと考えていました。
【支援・取組内容】
- 製造部門だけではなく、技術開発や、事業領域を増やしていくためにプロジェクトマネージメントが出来る人材や、技術開発において、「トライ&エラー」や過去の経験を踏まえた応用力がある人物が必要であるなど、活躍人材の特徴について検討。
- 会社の掲げるビジョン、理念と合致する人材像についてディスカッションを実施。他者への理解がある、社内のビジョンに合致する方など、複数のキーワードが出たため、今後の採用活動に向け、自社が求める人物像の明確化を行っていくこととした。
- 求める人物像を明確化した上で、採用する際の選考基準を作成することとし、選考における適性検査を行うにあたり、どのような要素がボーダーラインとなるか。 面接を行うにあたり、どのような質問、確認を行うかなどを検討していくこととした。
【課題・今後の取り組み】
- 会社としての付加価値をあげるため、技術開発や、事業領域を増やしていくためプロジェクトマネージメントを担える人材を求めていくため、必要となる人物像の要素や特徴を言語化し、適切な人材の確保を目指す。
第2回 専門家派遣
2023年12月、本講座の担当専門家である平松しのぶ氏(株式会社モザイクワーク)が株式会社斉藤光学製作所の採用力拡大にかかる課題の整理と採用戦略の策定支援(2回目・オンライン)を行いました。
【支援・取組内容】
- 新卒採用の選考状況について共有。現在、印象による評価となってしまっているため、職務・組織への適合性を判断するための行動評価について説明・検討を行った。
インターンシップの実施及び社内での交流を図るプログラムの取入れや、面接時に過去の行動を掘り下げるなど、その方法などについて説明を行った。 - 管理職に向けた必要な人材要素についてのアンケート調査結果を共有。高卒の場合は、ベースとなる受容性+主体的な行動が取れる人、大卒の場合は、ベースとなる受容性+向上心をもつ人など、必要な人材要素を整理した。
- 受容性を見極める質問項目について検討を行った。仮定的な場面の質問や、学生の過去の体験などから掘り下げ、必要な情報を引き出す手法についての説明を行った。
【課題・今後の取り組み】
- 必要となる人物像の要素や特徴を言語化し、適切な人材の確保を目指す。どのような人物要素が必要となるのか、社内の人材のバランスも含めて検討する。
- 採用基準を整理し、質問設計及び合格となる基準についての策定を行う。
第3回 専門家派遣
2024年2月、本講座の担当専門家である平松しのぶ氏(株式会社モザイクワーク)が差株式会社斉藤光学製作所を訪問し、採用力拡大にかかる課題の整理と採用戦略策定支援を行いました(3回目)。
【支援・取組内容】
- 必要となる人物像の要素や特徴を言語化し、適切な人材の確保を目指す。
また、どのような採用要件が必要となるのか、社内のバランスも含めて検討する。 - 採用要件をもとに、質問設計及び試験内容について検討する。
【成果】
- 自社の採用要件を決定した。高校生の場合、「受容性」「自発性」の土台があったうえで、「自分のなりたい姿があり、個性を発揮したいと思う人」とし、各々の個性を面接で見ていくこととした。
- 高卒採用について、「職場見学の際にワークショップを実施してみる」、「「学生時代にがんばったこと」をベースに掘り下げて質問を行う」など、その人の『受容性』と『自発性』を見極める方法を助言。また、「学科試験」「適性検査」「作文」「面接」など、それぞれの採用フローにかけるべき時間や要点についてアドバイスを行い、整理した。
【課題・今後の取り組み】
- 面接官の面接トレーニングの実施。社内で応募者役とオブザーバー役を設定して模擬面接を行うなどの取り組みを2024年7月を目途に開始。
- 地域の学生への貢献と高校との関係強化などを目的に高校生のインターンシップ、応募前職場見学でのワークショップを実施。2024年7月を目途に開始。
- 採用活動の振り返りとブラッシュアップの定期的な実施
採用要件と試験内容を定期的に振り返り、継続的なブラッシュアップと次期採用計画の立案を行う。2024年9月と翌2月を目途に実施。
計3回の専門家派遣の模様は以上です。
株式会社斉藤光学製作所をはじめとする9社の取組内容をまとめた事例集を秋田県公式HPで近日公開いたしますので、是非ご覧ください。
入社後に活躍できる人材を見極めるべく、採用活動をブラッシュアップ。試験や面接の改善へ
疑問や課題が明確になり面接内容などを変更
Q.採用力拡大支援事業「実践講座」に参加されたきっかけを教えて下さい。
A.
以前から採用活動の強化や、採用基準の曖昧さなどが社内で課題になっていました。採用試験の内容についても見直しを検討していたため、それらの課題を明確にした上で解決していきたいと考え参加しました。
Q.実際に参加されていかがでしたか?
A.
全5回の講座に加えて専門家派遣もあり、かなり充実した内容だと感じました。採用に関する知識だけでなく、具体的に何をするべきかという所まで落とし込むことができたので、受講後のアクションにつなげやすかったです。とても参考になりましたし、実際の採用活動に活かせている部分がたくさんあります。
Q.受講する中で、印象に残ったことはありますか?
A.
専門家派遣の中で最も重要な気づきになったのが、印象評価と行動評価についてです。今までは面接をする中で、「この人なら周りの社員とうまくやっていけそうだ」や、「落ち着いていて物静かなタイプだ」など、面接官が受けた印象が採用判断に大きく作用していました。専門家の方からは、「実際に入社してからの活躍を判断するためには、応募者がこれまで行ってきた行動にも意識を向けることが大切です」とアドバイスをいただき、従来の面接内容を再検討。応募者の過去の行動を深堀りし、当社の業務にどういった形で反映できるかを重視するようにしました。
今年は内容を変更して初めての採用活動になるので、しっかり振り返りをしながら当社ならではの採用活動につなげていきたいと思っています。
やるべきことが明確になり採用活動が充実
Q.受講後に実践している新たな取り組みはありますか?
A.
インターンシップの内容を変更しました。今年は4名の学生が参加してくれて、職場体験のほか、自分の強みや弱みを考えるミニゲームおよびワークショップなどを開催。インターンシップを行うことで、当社が得るメリット以上に学生や学校関係者のプラスになるものにしていきたいと思っています。
また、採用に関する筆記試験についても専門家の意見をもとに見直しを進めています。これまで当社で行っていた筆記試験は、国語、数学、理科のほか、作文、適性検査などがありました。3つの教科は入試問題などを参考に作成していましたが、その全てが業務に関係するわけではありません。なかには、試験の結果を合否判断に活かしきれていない部分もありました。今後は各教科とも出題範囲や内容を見直し、仕事に関わる部分だけにまとめる方針です。筆記試験がコンパクトになった分、面接時間を長く取って今まで以上に重点を置きたいと考えています。
Q.受講後に生まれた新たな課題はありますか?
A.
やはり、面接に関する課題が大きいです。当社は採用業務に特化した社員ではなく、各現場で働くメンバーが面接官を受け持ちます。今回の講座を受けて、面接の内容だけでなく面接官のスキルや経験も重要だということがわかりました。今後は面接官に新しい流れや注意するポイントなどをフィードバックするほか、面接トレーニングも行っていきたいと考えています。
また、年度末には採用計画の見直しと、次年度以降の計画作成も予定しています。実は数年前に、従来の面接や筆記試験の内容を見直したことがあります。当時はそれで大丈夫だと考えていましたが、時間が経つにつれて会社はもちろん、応募する学生の状況も変わっていきます。今後も定期的に見直して、現状に合った採用活動を行っていきたいです。
Q.最後に、今後の目標について教えて下さい。
A.
当社は講座を受ける前から、ホームページの整備やSNS発信など、会社の認知度向上に向けて取り組んできました。受講したことでこれまでの方向性が間違っていなかったと確認できましたし、採用基準や試験内容など、モヤモヤしていた疑問や課題などが明確になりました。
その一方で、今まで実施したことのないアクションもあり、思うように進められない部分も少なくありません。それでも「やるべきこと」がハッキリしたおかげで採用活動の見通しが立てやすくなったと感じています。今後は本講座で得た学びをもとに、実践と改善を重ねていきたいです。
【女性が輝く職場づくり研修会について】
社員一人一人が輝く職場環境の実現に向けて
Q. 令和5年度秋田県「女性が輝く職場づくりプロジェクト研修会」にも参加されました。
https://www.pref.akita.lg.jp/pages/archive/79544
研修会に参加されたきっかけを教えて下さい。
(研修会には、代表取締役社長執行役員 齊藤大樹氏が参加。以下、齊藤氏が回答)
A.
社員に対して女性が輝く職場づくりの必要性を伝える上で、なぜ女性活躍が必要なのかや、社会背景、他社の事例も含めて学び直す必要があると考え、参加しました。
当社は女性社員の割合が約4割を占めていますが、特定の職種に偏って従事する傾向にあり、もっと幅の広いキャリアを目指せる環境が必要だと感じていました。また、子育て世代の女性社員からは、柔軟な勤務体系や時間有給の取得ができる社内制度を求める声もあがっており、それらが課題となっていました。
Q.研修会に参加した中で、特に印象的だったことや新たな発見はありましたか?
A.
ほかの近隣企業も女性活躍に対して同じ課題感を持っているとわかったことや、すでに先進的な取り組みをしている会社もあって非常に刺激を受けました。
特に感じたのは、女性社員が求めている働き方や、管理職などのキャリアに対してどのような印象を持っているかを調査するのが大切だということです。私自身、当社の女性社員は管理職を望んでいないだろうというバイアスを持っていたのではないかと、自問自答する良い機会になりました。
Q.研修会に参加した後で、新たに取り組んだことはありますか?
A.
まずは経営陣が女性活躍に対する認識を持つことや、私の考えを共有する必要があると思ったため、役員会議などで時代背景や考えを共有する機会を増やしました。その結果、未だに女性に対する過度な気遣いが、役員メンバーの意識の深い所にあるという印象を受けました。
ただ研修に参加してからは、女性社員が特定現場以外の仕事をフォローする動きが少しずつ出てきています。その中で、2~3名が別の加工現場でのOJT研修などを受講。研修の直接的な成果かはわかりませんが、良い傾向だと感じています。
Q.今後の目標について教えて下さい。
A.
年内に実施を予定しているのは、女性社員向けの希望職種アンケートです。また、仕事と家庭の両立を支援するハンドブックの作成も検討していて、これは2025年3月までに完成させる予定です。ほかにも管理職における業務範囲の明確化と必要スキルのリストアップを進めており、最終的には2025年8月を目標に作成します。
Q.最後に、これから女性活躍に向けて取り組む企業へメッセージをお願いします。
A.
女性活躍に向けて取り組む際は、会社側、または経営者が女性に対するバイアスを持っている可能性があると認識することが大切です。男性、女性と一括りで考えるのではなく、一人一人の家庭事情や本人が希望するキャリアに対して、個別にアプローチすることで、社員が輝く会社組織の実現に向けて進んでいけるのだと思います。弊社もまだまだこれからですが、一歩ずつ進めていきたいです。