秋田県 令和7年度 県内企業の採用力拡大支援事業

2025.10.10

採用力拡大に向けたオープンセミナー【第3回】「現状分析・課題整理」(アーカイブ視聴可)

▼開催概要
令和7年度 秋田県採用力拡大支援事業 セミナー 第3回「現状分析・課題整理」
■日時:2025年9月29日(月)13時~15時30分
■場所:秋田拠点センターアルヴェ2階 多目的ホール
■登壇者:講師 平松しのぶ氏(株式会社モザイクワーク)

 「採用力拡大支援事業」の第3回目オープンセミナーを9月29日に開催しました。
 テーマを「現状分析・課題整理」と題し、講師には株式会社モザイクワーク取締役の平松しのぶ氏を迎え、会場・オンライン計60社の県内企業が参加しました。
 今回のテーマは「現状分析と課題整理」。
 過去2回の講義中心型のセミナーと異なり、ワーク中心のプログラムとなりました。聴講各社について「現状について立ち止まって振り返る時間とし、ワーク結果を自社に持ち帰って活用いただきたい」とお話がありスタートしました。

 セミナー前半の講演で平松氏は、採用における基本的な流れとして「募集・選考・定着」の3段階を示したうえで、「多くの企業は戦略を立てずに採用媒体(ナビサイトなど)に依存している」と指摘。「戦略がないままツールに頼ると、なぜ成果が出たのか分析できず、翌年の改善が難しくなる」と警鐘を鳴らし、そのうえで企業がまず取り組むべきは自社の現状把握と課題整理、強みの発見であると強調しました。「経営理念や社長の人柄、社員の雰囲気、仕事のやりがいなど、自社の“魅力資源”を再確認し、それに基づいた採用戦略を立てることが不可欠」と採用戦略の重要性について解説しました。
 また、いわゆる「Z世代(1997〜2012年生まれの世代)」の特徴に焦点を当て、「Z世代は、ワークライフバランスや仕事の楽しさ、やりがいを重視し、転職にも抵抗がない。『長く働くこと』よりも『自分らしく働けること』を重視するのが今の若者。企業はその価値観を理解し、魅力的な職場環境を提示する必要がある」と説明されていました。

 セミナーの後半には、各社が自社の状況を記入・分析するワークを実施しました。
 まず、新卒・中途採用ごとに採用の各フェーズ(応募・選考通過・内定・入社)のエントリー数及び「離職者」の数を書き出すことで整理を行い、自社採用の現状を定量的に把握。続いて、自社の募集に応募する求職者の立場に立ってみて、「知る」「応募」「面接」「内定」「入社」「定着」の各フェーズにおいてそれぞれどのようなマインドになっているかを考える「応募者ジャーニーマップ」を作成しました。最後にこれらのワークでの視点を統合しての自社の「課題」と「改善案」を抽出していく作業を行いました。
 段階を踏んで深堀りしていくワークに参加者からは「自社の課題が明確になった」「ツール依存から脱却する必要を感じた」などの声が聞かれました。
 平松氏は締めくくりに「採用の成功は“戦略”と“継続的なPDCA”に尽きる。まずは過去の採用を振り返り、改善点を一つずつ積み上げていくことが重要」と呼びかけ終了しました。

 休憩を挟んで行われた第二部では、昨年度本事業に参加した株式会社プライムアシスタンス(秋田市)の人事担当者が登壇し、自社の取組事例を発表しました。
 株式会社プライムアシスタンスはロードアシスタンスを中心としたコールセンター事業を展開しており、秋田県内に2拠点、約300名の社員が在籍。「応募はあるが説明会や選考への移行率が低い」「内定辞退が多い」などの課題が顕在化しており、こうした課題を解決したいと考え本事業に参加したといいます。

 課題に対し、「採用したい人材要件の整理」「活躍人材の嗜好分析」「内定者フォロー体制の再構築」という3本柱の取組により改善に着手しました。
 「採用したい人材要件の整理」と「活躍人材の嗜好分析」では、管理職6名に対し「成果を出す社員の特徴」「行動や意識の背景」「必要な資質」など6項目のアンケートを実施。その結果、活躍する人材には共通して「人の役に立ちたい」「使命感・責任感」「ホスピタリティ」「自立」「継続性」の5つのキーワードが浮かび上がったといいます。この分析により、採用したい人物像が社内共有され、評価基準の整備にもつながったそうです。

 さらに、新卒3年以内の社員36名を対象にしたアンケートにより、「働き続ける理由」や「大切にしている価値観」を調査。結果として、「人の役に立ちたい」「仲間と助け合いたい」という回答が多数を占め、この結果をもとに「お客様を助けるために、仲間同士で助け合いながら成長できる職場です」というキャッチフレーズを策定。媒体などへの露出に活用を始めているとのことです。
 「内定者フォロー体制の再構築」では、内定辞退の減少を目指しフォロー体制の強化にも着手。従来は担当部署が分かれていた採用業務を一本化し、人事総務メンバーを含めたチーム体制を構築しました。
 内定者へのアンケートを通じて「入社前の不安」や「知りたいこと」を把握し、オンライン面談などで個別対応を進め、「会社の雰囲気を知りたい」「先輩社員と話したい」といった声に応える形で、内定者交流会や情報発信の場も設けたと発表がありました。

 実際の成功体験に基づいた発表に参加企業は興味深く発表を聞き入り、自社で導入できる情報の収集につながる有意義な場としていただいた模様でした。